ビッグマフとは?
ELECTRO-HARMONIX(エレクトロ・ハーモニクス)のBIG MUFF(ビッグマフ)は、ギターエフェクター史において確固たる地位を築いたファズ/ディストーションペダルです。
ジミ・ヘンドリックス、デヴィッド・ギルモア、ジョン・フルシアンテ、ビリー・コーガンなど、名だたるギタリストたちに使用されてきたことで、ビッグマフは一種の“伝説”となっています。
このレビューで扱うのは、現行のUSA製BIG MUFF。クラシックな弁当箱スタイルのアルミ筐体、シンプルながら強烈な個性を放つサウンド、そして価格以上の満足感。
このペダルは、あなたのギターサウンドを一瞬で別世界へと連れていきます。
主な使い方|荒ぶる歪みを飼いならせ
BIG MUFFの音はただのファズ/ディストーションではありません。
その音は、分厚く、荒く、時に暴力的でありながら、どこか音楽的な整合性を保つという、矛盾のような魅力を持っています。
特に優れているのがサスティンの長さと音の押し出し感。
単音のロングトーンで音がどこまでも伸びていく感覚は、他のペダルでは得難い体験です。
- ロックソロでのリードサウンド
- シューゲイザーの壁のような轟音
- グランジの荒削りな質感
- サイケデリックな浮遊感
など、幅広いジャンルで活躍します。
また、前段にチューブスクリーマーやブースターを入れると、音の芯が強調され、バンドアンサンブルでも埋もれにくくなります。
トーンを下げるとドンシャリな重低音、上げればジャキジャキとした高域が顔を出す。
シンプルな3ノブながら、ツマミの設定次第で表情が大きく変わるのも醍醐味です。
ビッグマフの魅力|音作りの「沼」にハマるペダル
BIG MUFFの魅力は、音作りの自由度の高さにあります。
音作りは難しいですが、一度“良いポイント”を掴むと手放せなくなります。
例えば、以下のような活用法があります:
- ブースター+ビッグマフ:中域を補強し、輪郭のあるディストーションサウンドに
- コンプレッサー後段に配置:ノイズを抑えつつ厚みをプラス
- エフェクトチェーンの最後に配置:他エフェクトの個性を潰さずBIG MUFFらしさを演出
- ギター側のボリューム操作:フルテンでカオスな轟音から、ローファイなクランチまで自在に表現
つまり、BIG MUFFは「ただ踏むだけ」のペダルではなく、弾き手との対話を通じて“自分だけの音”を探していく楽しみをくれる楽器でもあります。
良い点・悪い点
良い点
- とにかく音が太く、存在感が段違い
- サスティンが長く、ソロに向いている
- 価格がリーズナブルなのにプロ仕様のクオリティ
- 音作りの幅が広く、ジャンルを超えて使える
- 「あの音」が手に入るという圧倒的満足感
悪い点
- サイズが大きく、ペダルボードに収まりにくい
- セッティングが難しく、慣れが必要
- 音が暴れやすく、繊細な演奏には不向き
- 中域が薄めで、バンド内で埋もれやすい場合がある(対策は可能)
他の機種との比較|どれを選ぶべきか?
BIG MUFFは、派生モデルが非常に多く、初心者にとってはどれを選べばよいか迷うポイントです。
以下はそれぞれのモデルのざっくりとした違いです:
Nano Big Muff
小型でボードに優しいモデル。
音質はややまとまりがあり、クラシックのような“暴れ感”は控えめ。
Green Russian Big Muff
中域が太く、ミドルの暴力的な押し出し感が特徴。
グランジやガレージロックに特に向いています。
Op-Amp Big Muff
スマパン系のザクザクしたトーンが好きな人向け。
ミドルが強めでやや現代的。
Triangle Big Muff(復刻)
初期型を復刻したモデル。太く、ウォームで甘い音。
ジミヘンファンにもおすすめです。
まとめ|買うべき人、買わない方がいい人
買うべき人
- グランジ・シューゲイザー・サイケロック志向のギタリスト
- ギターで印象的な轟音やリードを表現したい人
- 「この音じゃなきゃダメ」と思わせる中毒性のあるファズサウンドを探している人
- 音作りにじっくり取り組むのが好きなタイプ
買わない方がいい人
- エフェクターボードにスペースが限られている人
- セッティングの細かい調整が苦手な人
- 繊細なクリーントーンや上品な歪みを求める人
- メタル系など、タイトでミドルの効いた音を好むプレイヤー
最後に|BIG MUFFは「音楽的カオス」を飼いならす快感
BIG MUFFは、ただのファズやディストーションではありません。
うまく使いこなせば、あなたのサウンドを唯一無二のものに変えてくれる存在です。
万人受けするタイプではないかもしれません。
しかし、その荒々しさや癖こそが、時代を超えて愛され続けてきた理由でもあります。
踏み込んだ瞬間に広がる轟音、空気を震わせるような太さ、無限に続くサスティン──。
そのすべてが、ビッグマフを語る上で外せない魅力です。
あなたがもし、「個性ある音」を求めるギタリストなら、一度は体験すべき逸品です。
どこまでも深い“マフ沼”へ、ようこそ。


